ラピタライブ
ワールドフォトプレス
取締役
鈴木 敏弥 さん
TOSHIYA SUZUKI
「ものすごい防災セット」の内容を
確認した出版社取締役・鈴木敏弥さん
改めて必要な備えに気付く
1982 年から続く商品情報雑誌のパイオニア『モノ・マガジン』をはじめ、名だたるブランド腕時計の最新情報を集めた『世界の腕時計』など、傑作品や一流品を扱う雑誌で知られる出版社がワールドフォトプレス。実は、防災に縁の深い出版社でもある。
「防災グッズを特集したムック本を毎年発行していますし、『ミリメシ』といってアウトドアでも使える、いつでもどこでも温かいごはんを食べることができる非常食キットの販売もしています」と話すのは、同社の広告営業部に勤務する鈴木さんだ。
オフィスを訪ねると、2018年に発行された『モノ・マガジンの防災ぶくろ』などのムック本や、アウトドア系、サバイバル系のムックやグッズも目に付く。かなり防災への知見が高い会社なのが見て取れる。
今回はラ・ピタの製品から、キャリーバッグにもリュックサックにもなり、機動性に優れた「ものすごい防災セット」のインプレッションを、鈴木さんに聞いた。
鈴木さんは緑豊かな神奈川県の鎌倉市に在住。勤務地は東京都中野区のワールドフォトプレス本社。自身と奥様と小学1 年生のお子さんと義母の4 人暮らし。各地で災害が頻発する我が国において、2018 年現在、長らく大災害と無縁な関東圏のファミリーである。
だが、防災用品を入れたリュックを家に常備している。さすがワールドフォトプレスの一員だけのことはある。
「といっても最低限です。きっかけは3・11 でした。東北から離れた鎌倉でも、地震から数日間は、スーパーからも、コンビニからも、目ぼしい食品が消えてしまったんです。恐かったですよ。特に妻が主婦として相当なショックを受けて、『やっぱり用意しておいたほうがいいわね』と言い、僕も危機感を持ちまして、保存食と、断熱シートと、タオルなどを入れた非常持ち出しリュックを用意しました」
しかし災害への備えは「これで完璧」という答えはない。鈴木さんも「本当は何が必要なのなのだろう?」と、漠然と不安を抱えつつも、忙しい日常の中では備えを見直す余裕がなかったという。
今回、「ものすごい防災セット」の実物を目にした鈴木さんは、「ウチにぴったりかもしれない」と大いに興味をひかれた様子だ。このセットの機動性を重視したコンセプトが、鈴木さんの住む地域の防災環境に合っているという。
「うちの地域の避難所には、近くの小学校の体育館が指定されているんです。ところが、その体育館が、地域の世帯数に対して狭いんじゃないかと心配しているんですね。もし住民の大半が避難所に行かざるを得ない規模の災害があったら、全員が床と屋根のある場所で寝られるのか?もしあふれた場合は、市の中心部にある、ほかの避難所に行くこともあり得ます。すると、50 分以上は歩くことになる。災害の影響で、もっとかかるかもしれない。キャリーバッグとして転がせたら、かなり楽ですよ」持ちやすさをテストしてみよう。まずはキャリー。ハンドル長さは二段切り替え式で、身長177㎝で長身の鈴木さんも引きやすい。キャスターは2 箇所に装備され、傾けて引くタイプで、他の2 点がスタンドになる。安定感があり、勝手に転がることは、まずない。
次にリュック。背面にクッション性があって体に馴染み、またフレームが入っているため、形状が安定して背負いやすい。
「上に装備されたハンドルも太くて幅がある。手に下げても持ちやすい設計になっていますね。どの持ち方で運んでも疲れにくい。バッグ表面のナイロン生地も相当に厚いです。そう簡単に破れることはなさそうですね。一般的なキャリーバッグの機能に、災害時を想定した運びやすさと、頑丈さが加えられています」キャリーバッグ機能についてもう少し。利点は言うまでもなく、重いものを運びやすいということにある。利便性は、短い距離の移動でも発揮される。「救護所で水が配給される場になど、ペットボトルなり、水タンクなりに水をもらって、このバッグに乗せることで、避難所に楽に運ぶことができそうです」体力を消耗する避難生活で、台車の代用品として使えるのはありがたい。
「GORON」は付属のストローで膨らませるアナログタイプのマットだが、だからこそポンプを用意する必要もないし、故障の心配もない。とにかく軽量なのがありがたい。
長針の鈴木さんでも端を丸めて枕にして寝転がる余裕のある190㎝という長さがうれしい。
次にリュックを開き、セット内容をチェックする。
「ものすごい防災セット」は多彩な防災グッズで構成されている。中でも鈴木さんは、空気で膨らませる災害用エアーマット「エアーゴロン」に関心を持った。個装サイズは13 × 16 × 4㎝と片手に乗るコンパクトさだが、息を吹き込むと190 × 58 × 5㎝と、広さも厚みも十分なマットに変わる。「自分で用意した袋には、寝転がるためのアイテムは、よくあるシルバーの段熱シートを入れただけでした。まあ、僕のような、どこでも寝れる男はそれでいいんです(笑)。でも子供には薄いシートではかわいそうですね。地べたに寝かせるのも同じですよ。5㎝の厚みは心強いです。なぜこんな便利なものを、いままでの防災セットに入れてなかったんだろう?(苦笑)」付属のストローで鈴木さんは「エアーゴロン」を膨らませていく。長さ190㎝と長身の男性でも横になれるロングサイズ
だが、わずか5 分足らずで、張りのあるマットになった。「フッ、フッと小刻みじゃなく、フーッ…フーッ…とゆっくり吹き込むと、楽に膨らみますよ」とコツも掴めた。一方の端を少し丸めて枕にして寝転ぶ。フワリと適度な弾力で体が持ち上げられて、床の固さや凹凸は感じられない。まさに「ゴロン」と快適に寝られる。
「膨らませる前はコンパクトですし、家族の人数分用意しておきたいですね」買い足す場合、単品で2000 円程度と、リーズナブルなのもありがたい。
なお「ものすごい防災セット」には、掛け寝具の役割を果たす「レスキュー簡易寝袋」も同梱されている。災害時には十分な睡眠を取ることが第一だ。
「エアーゴロン」は付属のストローで膨らませるアナログタイプのマットだが、だからこそポンプを用意する必要もないし、故障の心配もない。とにかく軽量なのがありがたい。
長針の鈴木さんでも端を丸めて枕にして寝転がる余裕のある190㎝という長さがうれしい。
続いて鈴木さんが注目したのが、「簡易救急セット8 点セット」。もしもケガをした場合の応急手当の必需品である包帯、絆創膏、はさみなどが、手のひらにすっぽり入るコンパクトなケースに集められている。
「これまた恥ずかしながら、今まで意識の埒外でした。つい、食べ物と飲み物へと意識が向かうからでしょう。確かに食べないと命にかかわりますが、ケガの手当ても同じくらい大事ですよね。実際に被災し、避難生活になったら、小さな傷は絶えないんじゃないかな。このセットに入っている『簡易トイレ』も、『目隠しポンチョ』も、必需品ばかりです。『蓄光ホイッスル』は、あらかじめリュックに取り付けておけば、停電時に光を放つのでリュックがどこにあるかすぐに分かる。セットの中身を見て、災害って怖いなと、体験したことのない状況ばっかりなんだと、気付かされました」
「ものすごい防災セット」は、充実した防災グッズを揃えても、持ち運べなくては、無用の長物になりかねないことに気づかせてくれる。鈴木さんは「無駄のなさ」と「バランスのよさ」に関心したという。
「本当にコレ必要? と疑わしいものが一つも入っていないんです。レインコートは、軍手、マスクなど、何気ないんだけど、持っててよかったという場面がきっとあるでしょう。中身のアイテムは過不足がないし、多機能バッグとしても完成度が高い。バランスがいいと思います」
「ものすごい防災セット」の「ものすごさ」とは、オールマイティーでスキがない頼もしさに尽きるだろう。
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「まずは家族のことを考えてしまうんですよね。当たり前だけど、これ以上に大切なことはないでしょう」と鈴木さんは繰り返す。「自分ひとりだったらどうにかなるんじゃないか、たぶんそんなふうに考えてしまうんでしょう。でも、家族がいるから逆に真剣に考えなくちゃいけないし、実際に備えを怠れない。もっと考えれば、たとえば自分と妻では必要なモノも変わってくるでしょう。男と女という違いがありますから。『ものすごい防災セット』のバッグには余裕がある。そこに何を足すべきかは、家族みんなで相談して決めなくてはいけないことなんでしょうね。ゼロからセットを作るとなったら、これはもう大変なことでしょう。そういう意味でも『ものすごい防災セット』は頼りになると思うんです」
防災の備えはイメージすることが大切。鈴木さんの話にあったように、自分たちの近くの避難所へ向かうとして、どんなバッグに何を入れておくのがいいか。イメージを働かせて、防災セットを自分なりにカスタマイズすることが、いざというとき自分や家族を救うカギかもしれません。 -
スーツでも違和感なく持ち歩ける「ものすごい防災セット」。このデザイン性の高さは、防災セットをタンスの肥やしにしないための、ひとつの機能である。
鈴木 敏弥 / すずき・としや
株式会社ワールドフォトプレス 取締役。平成元年入社。同社発行『モノ・マガジン』『コンバットマガジン』など、全国発売の雑誌メディアを使った広告戦略、プロモーションを30 年以上にわたり手掛ける。広告営業の傍ら編集も手掛け、カジュアルウエア、バッグ、皮革製品などは自ら原稿も書くなど、多忙な日々を送っている。